2015年9月2日水曜日

去りサーティ


まだ夏は続いている 僕には季節なんて関係なかった
 厨房での労働とのダンスは終わることはない 終わらせる事は出来るが 終わらせてしまうと無職のエロ中年が誕生してしまうだけだ 社会的にエロニートというジョブは辛い
僕に優しい季節をプリーズ 神様お願いします。
僕は神頼み すると有頭海老フライの油が跳ねた フライヤーからの灼熱の油が僕の腕にかかった 熱い熱い
わかりました 神様。 甘えるなという事ですね 人生の暖かい春はまだ遠い。

忙しい厨房では外が晴れか雨かさえわからないくらい激務だ 夏は一際忙しいので僕は夏を感じる事が出来る こんな季節の感じ方 したくないんだけどね。
激務な夏 また一人の女子スタッフが辞める 今日でさよならだ
9月に入ってもまだ店は忙しいのだか 僕は引き留めない 羽ばたいて行くのを見まもるだけだ

辞めたのは 前にブログに書いた アニメ声の女子スタッフNちゃんだ 受験勉強の為に辞めますと言ったが 僕には掛け持ちしている焼肉屋のアルバイトは辞めません と言っていたので やはりこのカフェのホール勤務は掃き溜めかもしれない Nちゃん 君は鶴ではない 飛び立ちたまへ 勝利の栄光を君に。

厨房のスタッフKは落ち込んでいた 財布を落とした時くらいに落ち込んでいた なぜならアニメ声Nちゃんが辞めるからだ
Kは女子スタッフNちゃんの事を凄く気に入っていた それは恋心にも似た感情だったのかもしれない
Nちゃんのまかないだけ他のスタッフより豪華につくるK
「皆 平等につくれよ!まかない つくるのも 練習になるんやぞ!」僕の説教も意に介せず しつこく豪華にまかないを作り続ける その度に僕に怒られ続ける「言うことをきけや! タボがぁ!」
お気に入りだからといってNちゃんを特別扱いするKも特別扱いされて喜ぶNちゃんも
そんな人間 僕は嫌いなんだ 周りのスタッフに悪影響だ
糞みたいな馴れ合い デレデレちやほや喋りあってるのを黙らさなければ 贔屓は良くない
静寂は簡単 僕はわざとゴミ箱を音を出して引っ張った 大きな音に振り向くスタッフ その先には眉間に皺を寄せた僕 沈黙は訪れた。

僕は黙々と明日のランチの仕込みを続ける ガクンと落ち込むKを尻目にスピードプレイだ Kはいつもよりトロトロじゃがいもの皮を剥いている
好きな女子スタッフが辞めるからといって仕事が疎かになるとかお前は馬鹿か
思い起こせばKがNちゃんに対する発言が危うかった
Kは熱く言っていた「Nちゃんは天使」
そんな良い美貌してないよ 40点位ですよ 女子高生なんて幼いやろ

「Nちゃんの食べ残し食べたい」
誰で在ろうが 食べ残しは残飯だ そんなもの食べたいなんか異常だ Nちゃんのまかないの食べ残しならKの料理が不味いと言うことだ

「Nちゃんのサラサーティになりたい」
ちょっと僕にはよく分からない サラサーティってなんだ?もういい 好き勝手言ってろ。

僕にはKの発言が不可思議だった 多分 思考回路が違うのだろう
「サラサーティ」僕はこの単語の意味が解らなかった エリエールとかティッシュの類いなのかと Googleで検索してみた 「サラサーティ」それはおりものシートの事だった
僕はしかめ面 ゾクゾク背筋に悪寒 物凄く気分が悪くなった 検索しなきゃ良かった。
Kの発想が気持ち悪過ぎる 下衆そのものだ サラサーティに成れる訳がないし そんな所に貼り付いてどうする。

この店の女子スタッフが辞める理由は8割がマスターの事が嫌いで辞める
しかし Nちゃんが辞める理由は厨房から聴こえたKの歪んだ愛の言葉に限界だったのかもしれない
辞めれば良い その方が身の危険を感じなくてすむ
人間をやめかけている厨房スタッフKからお逃げなさい。

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